中国地方は、山地が多く可住地面積が少ないことから、氾濫域に人口・資産が集中し、山裾部まで宅地化が進められるなど、水害などによる自然災害を受けやすい特性を有しています。
また、近年の極端気象に伴う降雨量は、平均雨量を大幅に超えて集中豪雨を招いており、各地で甚大な被害を発生させています。
こうした自然災害を回避・軽減するためには、災害に強い社会資本整備などのハード対策と、地域の自然災害の把握、防災教育の実施、避難訓練などのソフト対策を組み合わせた防災対策の確保ができるように準備することが重要と考えます。
しかし、近年は地域の人と人のつながりが薄れ、過去の災害の教訓などを伝えにくい状況が生まれてきています。また、災害に関する資料の保存、継承が途絶える、あるいは貴重な資料が十分に活用されていない状況も見受けられます。
このため、(一社)中国建設弘済会では、中国地方の各地で発生した災害に関する資料を収集・整理して、災害の全体像、災害状況、経年傾向などを分かりやすく取りまとめ、できるだけ多くの人々に本書を活用していただけるようにホームページに掲載することとしました。
また、「中国地方の土木遺産」と同様に将来的には冊子の取りまとめを行いたいと思います。
本書が中国地方の地域防災力の向上に一助となれば幸いです。
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